思い付くまま ・・・・・ STAX と QUAD の混血
 静電型スピーカーの音質を決める最大の要素は何なんでしょうか。 ユニットの形態・面積・枚数・配置、フィルムの厚さ、導電剤、信号電極の透過率、電極とフィルムの距離、高圧電圧、入力トランス、ネットワークなどの周波数分割の扱い方、躯体の材質・構造・形態、などなど、いずれも関係しそうなのですが、どれが最も大きな要素なんでしょうか。

 かねてからの疑問でした。

 結論を先に書きますと、根拠はないのですが、私は、それは入力トランスではないかと思っています。

 以前、STAX ELS-4A をヤフオクで落札し、手に入れたことがあります。 その出品者の方は、部品取リ用にもう一台 4A をお持ちで、躯体は廃棄されたものの、ユニット、高圧回路シャーシ、トランスをお持ちでした。 落札後にその方から高圧回路シャーシとトランスを譲ってださるというお話があり、有難くお受けして譲っていただきました。 この日本の宝とも言える、極めて希少なものですので、いずれ活用しようと大事に保管してありました。

 そのときから、最初に書いた疑問を解消、とまではいかなくとも、色々と実験してみたいと思っていました。 しかし、レストア作業に追われたり何やらで、なかなか実験に手を付けるに至らずにいました。

 2024年後半から、時間を作っては、手持ちの QUAD のユニット4枚をレストアし、実験に使えるようにしてきました。 あとはSTAXのトランスに繋ぐだけですので、大した手間ではないばすですが、実際にやるまでには、それなりの決心が必要でした。

 ということで、次の写真が、とりあえず繋いだもので、背面からの写真です。


 少し説明を
ユニットの配置ですが、オリジナルを上から 1 2 3 4 としますと、これは、 2 3 1 4 としてあります。

ご存知かと思いますが、QUADの中高域ユニットは、同心円状に八つの区域に分割されています。 オリジナルの使い方は、中心の最高域から外に向かって次第に低い帯域を受け持つと同時に、時間差を設けて、疑似的に球面波を出すように作られています。




一方、STAX ELS-4A では、左の写真のとおり、三枚の大きなユニットのうち二枚が低域、一枚が中域(取説などではフルレンジと書かれているようで、それが正しいのかもしれません。)に割り振られており、高域には小さなユニットが使われています。

次に、これらユニットの面積と比率をみてみます。
QUAD は、四枚とも同じ、60×19Ccm で、面積は1140cuです。 一方STAXですが、大きいユニットは80×15cm で、面積は1200cu、小さい方は60×7.5cm で、面積は450cuです。 
QUAD を 1 とすると、STAXの大は約1.05倍、小は約0.39倍です。

低域に使われているユニットは、QUAD も STAX も、いずれも二枚づつですので、この面積比を基準として、まずは、QUAD のユニットを STAX の比率に当てはめることを目標としてみることにしました。

そうは言っても、まずは音を出してみたいのが人情というものです。 そこで、少し乱暴なのは承知の上で、STAX のトランスの出力の低域をQUADの下の二枚に。 これは今後も固定でいいと思います。 次に中域をQUADの上から二番目の一枚にそのまま繋ぎました。 これも、STAX では低域と中域は同じユニットですので、まあこれでいいかな・・・と。 問題は高域です。 STAXでは小さなユニットが使われていますので、QUADの一枚にそのまま繋ぐのはかなり乱暴ですが、どんな音が出るのか、という興味が先です。
上二枚のユニットはプリント電極が八つに分けられていますので、あらがじめ、これらの端子は短絡し、一枚の電極として使用するようにしてあります。

高圧についてまとめて書きます。 QUADは四つのユニット全て同じ5250V。 STAXは、大きいユニットは3600V、小さいユニットは1800Vを給電しています。 今回の実験では、先ずはテストベンチ躯体の高圧をそのまま使用しますので、ユニットにとっては、オリジナルと同じ、ということになります。

さてさて、それでどんな音が出たかというと・・・・・それは次回のお楽しみ、ということで、今回はこれにて 。


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